大脱走
何やらぶつぶつ物語りをしながら車に乗って遊んでいたちびすけ。
「Yくんは、ぼうけんのたびにでかけました~」
はいはい。冒険ね。
ふと、気が付くと・・・。
あれ?
ちびすけが、いない。
うちの周りには、いない。
玄関開けても、靴がない。
どこへ行った???
道路に?
いない。
公園??
いない。
工事をしていたおじさんが、
「帽子かぶった小さい子?ここの上へ上がって行ったよ」
と教えてくれました。
公園の横の坂道を通って、グラウンドのほうへ行ったらしい。
本当に、冒険の旅に出かけてしまったようです。
上がってみても、いない。
いない。
呼んでも、返事がない。
もっと上へ?
もう一つ上の公園へ行ってみて。
いない。
いない。
いない。
いない。
どうしよう?
どこに行ったの?
何しているの?
どうしていないの?
もしかして。
もしかして。
もしかして。
いやな想像がたくさん浮かびました。
もう一度、グラウンドのほうへ戻って、ちびすけの名前を何度も呼びました。
そうしたら。
「ここだよ~~~~~」
小さな声が、聞こえた気がしました。
声のする方へ。
声のする方へ。
遠くに小さくちびすけの姿が見えました。
ああ、いた!
ちびすけを抱きしめるまで、どれだけの時間が経っていたのでしょう。
ほんの一瞬のことだったのかもしれません。
でも、凄く、長かったような気がしました。
たった一人での数百メートルの大冒険、楽しかったのでしょうね。ちびすけはニコニコ笑っていましたが、その顔を見ると、ほっとして涙が出てしまいました。
不思議そうに見ていたけれど、勝手に冒険に出かけてはお母さんが悲しがる、ということはなんとなく理解したらしいちびすけ。
手をつないでうちへ帰る道で、ちびすけは
「ごめんね」
といいました。
ああ、もう。
知恵も体力もついてくるというのは、心配の種もいっぱいついてくるということですね。
私も気をつけなければいけないと、肝に銘じました。
by chibipiyopiyo | 2006-06-01 17:30 | ちびすけ