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大根の種のこと

先日ちょっと触れた、大根の種はタクアンのニオイがする、って話。
かなり前の話になりますが、ちょっと思いだすままに書いてみようかと思います。


私が社会人として初めて勤めたところは、種を大量に扱う会社でありました。
よりよい種を作るため、種を作っている場所のひとつであるオレゴンへと、入社1年目の私と同僚のAさんは長期の出張に放り込まれたのでありました。


海外に出るのは初めてだった私。
とっても緊張&ワクワクしておりました。
現地には日本人のスタッフがいて、その人と事前の打ち合わせをしていたときのこと。
「そうそう、こっちにはさあ、でっかい農場用のでっかい機械はいくらでもあるんだけど、実験用に植えた2,3本の大根を刈り取ろうとしてもそういう道具がないんだよ。
だからさあ、農協で鎌買って来てよ!
へ?
カマ?
「それと小さな畑を耕すための、アタマだけでいいからさ、あと、灯油のポンプ
へ?へ?へ?
クワ?灯油ポンプ?
ええそうです。
私の初海外渡航は、カマとクワと灯油ポンプ持参!でした。


オレゴンではオフィスに泊まって仕事をしていました。
オフィスといっても、古い農家を丸ごと買い取ったもので、畑もあり、ヘーゼルナッツの森もあり、周りにはブラックベリーがいくらでも生えていて、りんご、プルーン、ナシ、ぶどう、くるみの木もある、カエデの木にはリスも住んでる、という凄く面白いところでした。
ここでAさんと一緒に自炊しながら過ごしたのは全く貴重な経験でした。ジャム作りを覚えたのもこのときでした。だって、いくらでもその辺に材料があるのですもの。


出張に際して、社長から一つ宿題を頂いていました。(小さい会社なので社員と社長の距離は凄く近かったのです)
不良品の種を処分しなければならない場合がある。何かいい利用法はないか、考えて来い。
不良ダネの処分方法。しかも半端な量ではないのです、何百キロ、とかの単位です。
いっぱい使える方法、なんかないかなあ・・・。


収穫した大根の種が、良いものか悪いものか、その場で種をポリポリと食べてみて判断するスタッフがいました。真似して食べてみると、なるほど、種によって、辛いのがあったり、そうでなかったり、いろんな味がします。
ふーん・・・
あ、でも、これって、なんかちょっと、ナッツみたいな食感だなあ・・・。
余った種をナッツみたいに、食べることって、出来ないのかしら??


そう考えた私は、焼いてみたのです。
大根の種入りの、パウンドケーキを


焼きあがったかな?
ワクワクして、オーブンを開けた瞬間・・・

うへ~~~!
タクアンのニオイがする~~~~!!


そうなんですよ、大根の種は加熱されるという刺激によって、タクアン臭を発するのでした!

タクアンだよ、このケーキ、タクアンのニオイするよ~~!
と騒ぎながらも、一応切って食べてみました。
ポリポリするよ、ナッツだよ、でも、タクアンのニオイのナッツだよ。
Aさん、私、日本人スタッフとその奥さん、とにかくみんな、タクアンのニオイが違和感がありすぎるという結論で、大根の種ケーキ案は却下されました。

が。
アメリカ人スタッフに食べさせると、脇に大量のアイスクリームを添えて、いくらでも食べるのです。タクアンの文化が背景にないせいでしょうか、それとも、彼らはただアイスクリームが食べられればそれでいいんでしょうか、ガンガン食べてくれました。
うーん・・・もしかして、このケーキ、アメリカでは売れるのか?


一応、帰国してから社長に出張報告した際にも、念のためこの大根の種ケーキを自宅で焼いて持っていき、試食していただきました。
製品化の話は、その後全く出ませんでした・・・。

若かりし頃の、貴重な実験でありました。
教訓 タクアンのニオイは、大根がもともと持っている!

by chibipiyopiyo | 2007-01-18 00:08 | つくった